ひうい譚

「あなたのキスはdurational? それともpunctual?」

Smooch!とはどういうキスなのか

「Smooch!」という曲がある。作詞作曲はAIKO。歌はaiko。(もちろんAIKOaikoは同一人物であるが、aikoは作詞作曲の場合にはAIKO名義を使っており、これは英語で主語が三人称単数現在形の場合には動詞の語尾にsがつくということくらい基本なので覚えてもらいたい。)曲自体はミドルテンポで進む心地よいもので、ゆったりした朝や運良く座れたバス車内で聴いたりして、一日を良いものにするのに最適な曲だ(崇拝)。しかし、この「smooch」という単語はどういう意味なのだろうか。みなさんは歌手の歌のタイトルが英単語だった時、その意味が気になったことはないだろうか。私はやはり英語専攻の身としてはここで辞書を使って調べていきたい。

ジーニアス英和辞典第4版での記述はこうである。

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フィクションとしての不倫を読み解く

私が日本へ帰国して受験期に入った時、世は空前の「逃げ恥」ブームであった。星野源が歌い踊り、新垣結衣が可愛さを振りまきまくって、石田ゆり子が色気をぶちまけていた時期である。ドラマが放送する火曜日の翌日の水曜日は、予備校の一角で帰国子女が集まってドラマ内容について感想を言い合うのが恒例になるほど、「逃げ恥」の威力には凄まじいものがあった。

この時から、私の中での小さなドラマブームが始まることになる。これは必然だったともいえる現象で、帰国子女で特にアメリカ文化(洋楽や洋画)にあまり染まらなかった者たちは、日本に「日本らしさ」を存分に期待して帰国してくるからである。アメリカで押し殺すことを強制されていた「日本熱」たるものが幾年の時を経て解放されるのだ。日本では日本語が通じる。おにぎりが売ってるコンビニがある。おいしいお菓子がある。おいしい居酒屋がある。電車でどこまでも行ける。自転車でどこまでも行ける。アイドルが、アニメが、漫画が、遊戯王がある。これがどれだけ幸せなことか。

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*LIKES*という表記に想定されうる歴史。

多種多様なSNSが発達した今、人類は様々な場面でプロフィールというものを書かされている。LINEの一言、twitterのプロフィール(最近はbioというらしい)、ブログのaboutページPSNアカウントの自己紹介。この場合のプロフィールとは、すなわち「自分はこういう人間でこういうものが好きなんですよぉ」とアピールすることである。そしてSNSとは、基本的に自分の好きなものに対する愛を"シェアハピ"して楽しむ場であり、この「好きなもの」を一目でわかるものにしておくのがこのプロフィールというわけだ。

そして今回はこの「好きなもの」の表記の仕方について考えたい。

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今日も修飾語句が泣く。

まずはこの例文を見てほしい。

I wrote her a letter. (SVO1O2)

I wrote a letter to her. (SVO)

一目見てわかるようにここには五文型の明確な"おかしさ"たるものが潜んでいるのである。「彼女に(彼女へ)」という部分は文意において不可欠なはずなのに、2つ目の文では、文型という箱庭からそれが脱落してしまっているのだ。

この状況があるものを深く悲しませていることをこのブログの読者様は知っているだろうか。それは「to her」である。私には静かに声をたてぬよう、すすり泣くto herの声がはっきりと聞こえているのだ。私はこのto herを慰めてやりたい。to herを救ってやりたいのだ。

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Conversation-Starterとしての最善手を探していく

「おともだちパンチをご存知だろうか。」

これはかの有名な森見登美彦氏の小説「夜は短し歩けよ乙女」の冒頭で登場する文である。「おともだちパンチ」というのはおそらくこの小説で初めて登場する概念なので、大体の読者が「いや、知らんけど」となって、読み進めてしまうはずで、まさに読者を引き込むフックとしての役割を存分に果たしていると言っていい。Conversation-starterとしてこれを出されたら、誰もが「知らない」と答えてしまい、そのあとに展開される話を聞かなければならなくなるはずだ。ハッピーエンドだ。誰もが赤面することうけあいだ。

こんな感じの、人を一気に惹きつけられる何かを、朝会う友達の前で一発目に出していきたい、というようなことを常に思っています。いつも頭の中でtwitter用のネタとかしょうもないこととかを考えているような人間です。

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