ひうい譚

「あなたのキスはdurational? それともpunctual?」

【ボツ記事】「徒然チルドレン」のローマ字表記にドキッとする

※今回の記事は書きながら感触が全く良くなかったので「ボツ記事」という名目で投稿しておく※

 

久々に漫画を買って読んだ。思えば最後に読んだ漫画は「きょうは会社休みます」(藤村真理)だった。「きょうは会社休みます」はマーガレットコミックスなのでガチガチの少女漫画だった。これはこれで良かったが、今回はこの少女漫画はおいておいて、新しく読んだ漫画「徒然チルドレン」について書きたい。

 

ところで、大学生になった人々の大半に不足しているものは何かと考えたとき、それは圧倒的に「胸キュン」ではないかと思う。大学生が10人いたら8.9人くらいがこれに同意することは間違いない。シーブリーズのキャップを交換していた時代はそう昔じゃないはずなのに、いつからか我々は「そっけない」(RADWIMPS)の世界に生きるようになってしまった。これを「第三次成長」と定義して保健の授業で教えてもよろしいか。

その点、この「徒然チルドレン」には、我々が忘れつつある胸キュンが詰め込まれている。具体的な主人公というものは存在せず、1つの高校を舞台に、それぞれのキャラクターにそれぞれのストーリーがあるといういわゆるオムニバス形式(?)(追記2019/04/23 「群青劇」という言葉が合うかもしれないです!)という形で進行する。登場人物はみな同じ学校に通っているので、1つのストーリーの中に別のストーリーのキャラクターが登場することなどの特徴がある(AくんとBちゃんのカップルの話に、別枠で展開されていたBくんとCちゃんカップルのBくんがAくんの友達役として登場するなど)。基本的に5~7ページくらいで1話が構成されており、1つのカップルの話で5~7ページ使い、次のページはまた別のカップル、というように進んでいくため、それぞれのカップルの話が1冊のなかで少しずつ進んでいく。一般的な少女漫画との違いはここにある。少女漫画ならば、1つのカップルの話をじっくりと追っていく形式になるだろうが、「徒然チルドレン」は数々のカップルの進行度合いを1冊のなかで少しずつ確認するという形になる。少女漫画はいわばコース料理だ。コース料理をよく知らないので詳しく説明できないが、首尾一貫した料理が規則正しく流れてくる感覚である。それに対して「徒然チルドレン」はバイキングである。いろんな種類の料理をちょこちょことさらに盛り付けることができ、最終的にその盛り付けられた皿が「徒然チルドレン」の1冊である。

そして、「徒然チルドレン」最大の特長といえば、なんといっても胸キュンまでの手軽さである。カップラーメンのノリで、ファストフードのノリで胸キュンを摂取できる。短い1話、種類豊富なカップル、4コマ形式などなどの要素により、胸キュン難易度がかなり低くなっている。1本の帯のようにつながっている少女漫画とは違い、短く切られた金太郎飴のような感覚で味わえる「徒然チルドレン」はやはりすごい。

ちなみに私の好きなペアは菅原×高野、砂川×戸田、生形×柴崎、加賀×七瀬などなど。

 

最後に私が一番ドキッとした点をあげたい。それは「徒然チルドレン」のローマ字表記である。最終巻である12巻を読み終わった私は、注意深く表紙を眺めていた(12巻の表紙は詳細に書き込まれていて誰もがしっかりと見ておきたくなるような仕上がりになっている)。そして、たまたま背表紙を覗いたとき、私はたじろぎたじろいた。

Tsure×dure Children

と書かれていたからである。

なんという音韻論と音声論のmixtureか。音韻論に基づくならTure dure」だと思うし、音声学に基づくなら「Tsure zure」ではなかろうか。そもそも「づ」と「ず」の違いをローマ字でどう表現しようかというところである。このローマ字表記でGOサインを出したのは誰なのだろうか。いや別に攻め立てたいわけではなく、TsuとDuを共存させることに違和感などはなかったのだろうか。とても気になるところである。

ここまで来てあまり詳しく書けないことに気が付いたのでこのへんでやめにするが、とにかく「徒然チルドレン」はいろいろな意味ですごいのでぜひ一度読んでみてほしい。amazon primeで過去に放送されたアニメも視聴することができるのでおすすめする(深夜アニメでありながら1話15分という短さ、ここにも金太郎飴要素がちりばめられている)。

 

大学生はみなこれを見ろ。読め。そして思い出せ。あの頃は私たちも徒然チルドレンだったと。