ひうい譚

「あなたのキスはdurational? それともpunctual?」

究極の選択の解答が出た

800 wordsほどのそれなりに大きな英文エッセイを書き上げると、そのはずみからか反射的にこのブログにもなにか投稿したくなり久々に筆をとることにした。筆をとるとかカッコイイ言い方をしているものの実際はくだらない話を書き連ねていくだけのもので、今回は特につまらないのでその点を覚悟していただきたい。

今回の議題は「カレー味のう○ことう○こ味のカレー選ぶならどっち」だ。このような下品かつ低レベルにみえる話に、男女ともにぜひ最後までついてきていただきたい。なぜなら、これについて自分の考えが180度変わる体験をしたので、是非ともその瞬間をシェアしたいからだ。

 

まず、この記事を読み進める前に、自分の中でこの質問の答えを思い浮かべておいてほしい。つまり、あなたはどちらか食べないといけない時、カレー味のう○こか、う○こ味のカレーか、どちらを食べるかということである。事をクリアにするために条件を加えておくと以下のようになる。

カレー味のう○こ

  • におい、味がカレー。
  • 見た目はう○こ。今回はバナナ型とする。
  • フォークとナイフを用いて食べるとする。
  • 食べる量は小さじスプーン程度。
  • 10回噛むこと。
  • 飲み込むまで飲み物の摂取は不可。
  • これによる人体への悪影響は一切ないものとする。
  • 場所は誰もいない森の中とする。

う○こ味のカレー

  • におい、味がう○こ。想像にまかせる。
  • 見た目はカレー。今回は松屋のカレーの見た目とする。松屋には何の恨みもないことをここに明記しておく。
  • 皿の上のカレーをスプーンですくって食べることとする。
  • 食べる量は小さじスプーン程度。
  • 10回噛むこと。
  • 飲み込むまで飲み物の摂取は不可。
  • これによる人体への悪影響は一切ないものとする。
  • 場所は誰もいない森の中とする。

以上が条件である。こういう話をすると、実際にどちらか食うわけでもないのにやたらと「え、こっちはどんくらい食べなあかんの?飲み物あり?見た目はどんなん?」とか聞いてくるやつがいるのでできるだけ状況が分かりやすくなるように整理してみた。

さて、この上であなたはどちらを選ぶのか、頭の中で答えを思い浮かべてもらった上で次に進む。

 

常々、私はこの問いに対して「カレー味のう○こ」と解答してきた。なぜか。単純に味を重視しているからである。たとえそれがう○こであろうと、味がカレーなら、もうそれでいいじゃないかと。だって見た目がどれだけう○こでも食べたらカレー味なんですよ。おいしい。特に問題ない。たしかに見た目のせいで食欲減退するかもしれないが、においがしっかりう○この方が絶対に食べたくなくなるでしょう。一度口に入れればそれはカレー味。そのカレー味のするう○こを舌の上で雲のようなやさしさでそっとぎゅと抱きしめたい所存である。

しかしこの持論が木端微塵になる事態が起きた。今年の2月に東京に旅行した時のことである。私が東京に出向く理由の8割は、アメリカに住んでいたころの友達に会うためである。帰国子女は予備校生活を終えると、それぞれ四方八方に散って生活する。といいつつも、だいたいは東京の大学に行っているので、関西の私は東京に行けばとにかくたくさんの旧友に会えるのである。そして、その友達の中の一人が暇つぶしもかねて聞いてきたのがこの質問なのである。

その時、私はいつものように「カレー味のう○こ」と答えた。もちろんその理由もしっかり説明した。なぜか私は自分の持論に少し自信すら持ち始めていた。

しかし、その友達は「う○こ味のカレー」を選択すると言った。私は自分の説明を100%信頼しているので、相手の理由を尋ねることすらためらった。自分は何を言われても揺らがないと思っていたからである。しかし、彼は私に続けて言った。

「お前が食べているものは、う○こなんだよ」

一瞬こめかみに静電気が走ったような感覚に陥ったが、それがどうした、と少し強気に返答してみると、彼は今度こそ私の持論を切り崩しにかかってきた様子で説明を始めた。

「いくらお前が食べてるのがカレー味で、どれだけおいしくても、それはう○こなんだよね。まわりからみたら、お前はう○こ食ってんだよ。おいしいーつって。だけど俺が食ってるのはあくまでもカレーじゃん。う○こ味で最悪だけどカレーなんだよね。人としてこっちの方がいいでしょ」

間違いないと思った。今までの自分が全否定された気分だった。これほどきれいな論破を体感したのはいかにもこれが人生で初めてかもしれない。私はおいしいう○こを食べている人間なのである。どれだけおいしくても、絶品でも、それはう○こ。いくらおいしくても「これう○こだけどめちゃくちゃうまいんだよねたべてみ?」とタピオカ感覚で勧めても誰も食べてくれないだろうし、間違いなく「ひうい、ついにおかしくなったか」と思われるだけである。一方で彼は、あくまでもカレーを食べている。めちゃくちゃまずいカレーである。でもそれはカレー。どんな味であろうと、名目上はカレー。この言葉による分節のもつ力はすごい。どれだけひどくても、それがカレーという範疇に分類される限り、それはカレー。「このカレーめちゃくちゃまずいわ失敗したぁ」みたいな感覚で食える。人間性を損なわない解答である。

またこのような見方もできる。カレー味のう○こを選ぶ人は自分のことを最優先する。まわりからどう見られるかを気にしない。う○こ味のカレーを選ぶ人は、逆に自分がどう思うよりもまわりからどう見られるかを重視する。ここに新しい心理テストが誕生した。

かくして私の究極の選択談義の解答はここに決定された。「カレー味のう○ことう○こ味のカレーならば、ひういはうんこ味のカレーを選ぶ。」

みなさんはどうだっただろうか。この記事を読んだ後、あなたの中に何か変化はあっただろうか。あったならこの記事を書いた意味があるなと思うしなかったらなかったでそれで良い。

やはり世の中いろいろな人に会って話す経験をするべきである。使い古された表現で「視野を広げる」というのがあるが、まさに視野が広がった瞬間である。大学というものはもしかしすると、こういう問いの解を探すために存在しているのかもしれない。それはさすがにウソ。